車いすに乗って泊まりたい
バリアフリーの宿
( bariyado.com )
旅行は誰にとっても、とりわけ車いすに乗られている方にとっても心を解き放つ貴重な時間であり、忘れられない体験と記憶を生む特別な機会です。このブログでは、そうした方々が安心して快適に宿泊できる「車いすに乗って泊まりたいバリアフリーの宿」を厳選して、ご紹介しています。


「旅行は難しい」と諦めていらっしゃる方にこそ、安心して訪れて頂きたいという思いから、客室のレイアウトや宿泊施設の外観、設備のバリアフリー対応状況、食事の内容、ホームページ、地図、アクセス方法など、事細やかに掲載しております。快適に過ごせる宿を、このブログで見つけて頂けるように読者目線にたった情報発信を心掛けています。
このブログが、車いすに乗っている方々にとって「旅の入口」となり、素敵な思い出を刻むお手伝いができれば嬉しく思います。
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車いすに乗って泊まりたいバリアフリーの宿を紹介します

車いすとの出会い
車いすを使うようになったきっかけは、クリスマス目前の寒い冬の夜のことでした。会社帰り、駅ビルの書店で本を一冊手に取り、バス停へと急いで向かう途中、わずかな段差に足を取られて転倒してしまいました。勢いよく倒れてしまったため、その日は近くの交番から自宅に連絡してもらい、家族に迎えに来てもらいました。
それ以降、短距離であれば歩くことはできましたが、長時間の歩行は困難となりました。市内の障害者センターでリハビリに取り組みましたが、回復は叶わず、やむなく会社を退職する決断をしました。
車いすとともに
電動車いすを使い始めたのは、その事故から約1年後のことです。今では通所する作業所への移動も、病院への通院も、買い物へ出かける時も、いつも一緒に過ごす心強い相棒になっています。

車いすで通所する日々の風景
自宅を出て、キャベツやブロッコリーの畑の間をゆっくり進んでいくと、美術を専攻する学生たちが通う大学が見えてきます。その大学を発車するバスに乗り込み、JRの駅へと向かいます。途中、バス会社の営業所がある停留所で降りると、通りを挟んだ向かい側に、私が通っている作業所があります。
はじめてのバスは勇気が必要だった
初めてバスに乗った日は、正直なところ不安がありました。車いすで乗り降りすることで、バスが数分ほど遅れてしまい、運転手さんや他のお客様にご迷惑をおかけしてしまうのでは――そんな思いが頭をよぎったのです。
そのため、乗り降りの際には今でも欠かさず「すみません。ありがとうございます」と声をかけるようにしています。周囲の方々は通路を開けてくださり、時には降りてくださったり、やさしく声をかけてくださったり。本当にありがたい気持ちでいっぱいです。
感謝を込めて
そうした心遣いに触れるたびに、「今日も感謝」「いつも感謝」「ずっと感謝」。通所の時間は、人のやさしさに気づかされる、かけがえのないひとときとなっています。

プログラムと向き合った日々、そして旅が教えてくれたこと
伊豆踊り子号が走る線路の下にかかる歩道橋を渡ると、中小企業が立ち並ぶ町の風景が広がります。その中心に位置する、白い4階建ての建物が私のかつての職場でした。そこで、測定器に組み込まれるマイクロコンピュータのプログラム作成を担当していました。
達成感と苦悩が共にある仕事
プログラミングの魅力は、頭の中で描いた通りに機械が動いた瞬間の達成感にありました。一方で、思いがけないバグ(不具合)との格闘も絶えず、いつ現れるとも知れない問題に悩まされる日々でもありました。
旅先でふと気づいたこと
そんな日々の中、気分転換に向かった伊豆半島への一人旅。強い風が吹き荒れても、大雨が降っても微動だにしない伊豆の山々。どこまでも静かに流れる河。その風景を見ているうちに、自分が抱えていた悩みが、どれほど小さなものだったかに気づかされました。
旅は、心に余白をつくってくれるもの。日常から少し離れて、自然の中に身を置くことで、何かを見つめ直すきっかけになるのかもしれません。

諦めから始まった旅の希望
車いすで生活するようになった当初、「もう旅行には行けないだろう」と思い、どこかで諦めていました。「仕方ない」と自分に言い聞かせていた日々。そんな中、車いすのままでも宿泊できるバリアフリー対応のホテルや旅館が数多くあることを知り、大きな希望を感じました。
「この情報は、きっと誰かの力になる」――そんな思いが、私がブログを書き始めたきっかけでした。
生きがいとしてのブログ
60歳を過ぎ、年齢を重ねるにつれて、ブログを書くことが私にとっての生きがいになってきたと感じています。今では「このブログを読んでくださった方が、安心して旅を楽しめますように」と願いながら、ひとつひとつの記事を丁寧に綴っています。
誰かの役に立てたら
障がいをお持ちの方や、車いすで日々を過ごしている方に、残せるものは多くないかもしれません。それでも、ブログを通して「旅はできる」「楽しんでいい」――そんなメッセージを発信し続けていきたいと思っています。